1つ目のポイント。当たり前のことではありますが、「狙いや目標を持って指す」のが大切になります。
最初のうちは「飛車取り!」とか「金取り!」とか、それくらいでもいいんです。相手に見破られてガックリするのもいい経験。上達するにつれて、「直接の狙いは飛車取り、そこで相手がこう受けるとこの狙いがあるし、こう受けた場合はこんな狙いもある」なんてことまで考えられるようになります。
第14図は序盤の駒組みを終え、いよいよこれから戦闘が始まろうかという緊迫した局面。
先に攻撃を仕掛ける権利は、飛車と角の大砲2つがのびのびと使えている先手にあります。後手は先手の攻撃を最初は耐え、隙を見て強烈なカウンターを喰らわせようという陣形です。
後手の陣形は从*^ー^)が愛用している戦法でもあります(これしか知らないという説もある)。
さあ、先手はどこから攻めましょう。
…困った、という方が大多数かもしれません。だって、図の後手陣には隙がないんですから。
こんな時にオススメなのが「たられば思考」。多少は都合の良い考え方でいいので、「こうなったらいいのにな」、「こうなれば形勢が良くなるのにな」と考えてみるんです。
勝負事に「たら、れば」は厳禁と言われていますが、プロ棋士が何十手も先を読んでいるのだって、まずはこの「たられば思考」から始まることが多いのです(たぶん)。
さて、もう一度第14図を見てみましょう。「こうなったらいいのにな」は人それぞれ違うと思いますが、ここでは「▲2四歩から2筋を突破できたらいいのにな」と考えてみます。何と言っても攻撃の主役は飛車ですから、それを最大限に活かして攻めたいものです。
さあ、そうと決まれば早速第14図で▲2四歩……というわけにはいきません。△同歩▲同飛△同角で飛車の丸損です。これは暴走しすぎというもの。
ここでもう一段階、ステップアップしてみましょう。「どうなれば▲2四歩から突破できるか」。
3三の角がいなくなればいいんだ、と気付けたなら大成功。じゃあ今度はどうすれば3三の角を盤上から消せるか……だんだんゴールが見えてきましたね。
第14図から▲4六歩△5四歩▲4五歩(第15図)と進みます。
第15図から△4五同歩なら▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛(第16図)で、「たられば思考」があっと言う間に実現してしまいました。もちろん第16図は先手優勢。
例題として取り上げたこの形、実はプロのタイトル戦にも登場するような形なんです。
高度に見える将棋も、中身は「たられば思考」の積み重ねから成り立っているんですね。
「たられば思考」の練習問題。ヒントとして「こうなったらいいのにな」を示しましたので、そこから先手の攻め方を考えてみてください。別に間違ってもいいんです。練習だから。
(8六の角がいなくなれば、8二の飛車が取れる)
(7四に歩を打てれば、桂を取ることができる)
(8六の飛車を捕まえたい)
第17図は▲3一角成△同金▲8二飛成。
第18図は▲9五香△9四歩(△同香でも同じ)▲7四歩。
第19図は▲1三角成△同桂▲8七香。
3つとも分かった方、バンザイして喜んでください。いつの間にか「三手の読み」ができるくらいに上達したんですから。
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