亀井絵里的舞台裏 4 「ドラマ」

初戦を落として早くも崖っぷちに追い込まれてしまった。次に負けると予選敗退である。
予選2回戦は、初戦の1週間後、7月21日に行われた。相手は「XXオタク軍」チーム。

モ娘(狼)軍は初戦の2将と3将を入れ替え、（*・ｅ・）→川＇v＇从→从*＾ｰ＾)→（●´ー｀）のオーダー。対局当日に発表されたオーダーを見てみると、1将から3将までは相手チームのレーティング点のほうが上だった。今回も状況は決して楽ではない。しかし絶対に負けたくない。そんな想いで対局に臨んだ。

四間飛車から守勢に立たされてしまった前回の反省を活かし、今回は相手の四間飛車に対して居飛車穴熊を選択。玉を固めて、あとは思う存分に暴れようという作戦である。

相手の四間飛車棒銀に対して3筋から反撃する展開となったが、第1図から▲2六歩が冷静な一着。次の▲1四歩が受け辛い。
▲2六歩以下△7五歩▲5四歩と進んだところで亀にバトンタッチ。

数手進んで第2図。▲6三歩成からのと金攻めを見せられて忙しい局面だが、ここからの指し手は自分で言うのもアレだが会心の手順だった。

第2図以下、△3二飛▲6三歩成△4四金▲同角△3五飛！(第3図)

第2図の少し前に打った△2三桂や第2図からの△3二飛は選手交代の際の作戦会議で示された手だったのだが、第2図で考慮中に△3五飛という手を発見して指せそうだと思った。放置すれば△3七銀からガリガリいけるし、▲同角△同桂となった局面は△3五飛のところで単に△3五桂よりも数倍得している。

本譜は第3図から▲5三と△3七銀▲同銀△同歩成▲同金△4八銀▲3六歩△4九銀不成▲3五歩△3六歩と快調に攻め、亀は内心「決まった」と思い込んでいた。
ところが、現実はそんなに甘くなかったのである。

亀から安倍さんにバトンタッチした第4図。▲6一飛成がいきなり詰めろになる(▲3一竜～▲2二角成)のに気付いて真っ青になり、さらに亀が最後の最後に打った△3八金が典型的な「王手は追う手」の悪手で、ここでは後手が負けている。

完全に楽観していた自分を責めつつ、逆転を信じて祈るような気持ちで画面を見つめていた。
……そして、誰も予想し得なかったようなドラマが起こる。

第4図以下△5七歩成▲同玉△同角成まで、後手の勝ち。

一瞬、何が起こったのか分からなかった。相手の方が8四角の利きを見落としていたのだが、こんなことってあるのか、という信じられないような気持ちだった。

満足には程遠い内容だったが、とりあえず1勝。次の3回戦が、勝てば予選通過、負ければ予選敗退の大一番になる。
残念な形で予選敗退となってしまった相手チームのためにも、絶対に予選通過しなければ―――――固く決意した。