最終盤の思いがけないドラマで、辛くも1勝を得たモ娘(狼)軍。予選通過を賭けた3回戦は8月3日の金曜日、「ぐろ流」チームを相手に行われた。

実は3回戦を指す日の希望日を登録する時、第一希望4日、第二希望3日で登録していたのだが、登録チーム数が奇数になったりした関係で第二希望の3日に移動させられたという経緯がある。亀はこれに運命的なものを感じずにはいられなかった。

私事になるが、亀が(ネット上ではなくリアルで)最後に昇段を果たしたのがちょうど8月3日だったのである。だから何だと言われればそれまでの話かもしれないが、個人的には少なからず思い入れのある日なのだ。
さらに関係のない話をすると、対局前、緊張を和らげる意味も含めてヤフーでプロ野球の一球速報を見ていたのだが、亀の好きな球団である中日ドラゴンズが打線大爆発で10点以上取っていた。

そんなふうに偶然が重なって、亀は根拠もなく「今日は勝てる気がする」と内心思い込んでいた。



夜の9時20分頃に対局開始。モ娘(狼)軍のオーダーは2回戦と同じにしたのだが、これは裏にちょっとした狙いを秘めていた。
相手チームは後半の2人が2000点台というオーダーであり、必然的に早い段階から動いてリードを奪いに行こうという方針になる。前の2局はいずれも持久戦調だったのだが、そこでオーダーを変えると、相手チームも「何かやってくるのでは」と考えるかもしれない。だからオーダーは変えずに臨み、いきなり急戦を仕掛けて動揺させようという作戦だった。こういった心理的な駆け引きも、リレー将棋の面白さの一つだと思う。

さて、狙い通り1将のガキさんのところから急戦石田流の構えを見せ、相手も角交換から△4五角と両成りを狙った第1図。



こうなると攻め合い以外の道はなく、以下▲7四歩△7二飛▲5六角△2七角成▲7三歩成△同飛▲同飛成△同銀▲8三角成と、一気に激しくなった。もちろん作戦通りの展開である。


それから少し進んだ第2図。



見ていた亀はここで△2六飛という手に気付いてヒヤッとした。▲2八歩などと受けようものなら△5六飛▲同歩△6六馬(変化1図)となり、アッと言う間もなく終了である。



後になって考えてみたら△2六飛には▲4六歩がピッタリで△2七飛成にも▲2八飛と打てば大丈夫だったのだが、この時の亀は▲4六歩が見えていなくて、第2図から△5二玉(第3図)と指された瞬間思わず「セーフッ!」と呟いていた。



ちなみに局後、ガキさんは「(第2図から)△2六飛は気付いてたけど、(相手に)ばれないと信じて指した」と語っている。うーむ…素晴らしい度胸の良さ。見習いたい。


第3図でガキさんから2将の美貴様にバトンタッチ。作戦会議では△2六飛からの前述の筋を防ぐために▲7七銀などの手を考えていたのだが、△8八歩で困るという指摘があった。

対局が再開され、さて美貴様どう指すのかなと見ていると、第3図で▲7七銀!マジかよー、と驚いているうちに予想通り△8八歩が飛んできたのだが、ノータイムで▲8六飛!これが絶妙の手順で、後手は8筋に歩が打てないため桂取りが受け辛い。以下△8二飛▲同飛成△同銀▲8四飛△7二金▲7三歩△同桂▲4四飛△同歩▲3四馬(第4図)と、快調な攻めが続いた。途中の▲7三歩も好手で、桂で取らせることにより桂頭にキズをつくりつつ、6二から7三という玉の脱出路も塞いでいる。



その後も確実に相手玉を薄くし、自玉を気にせずひたすら攻めればよいという非常にわかりやすい展開で亀にバトンタッチしてもらえた。




第5図から▲7八香△6二玉▲4四馬引!が決め手。△同桂は▲6一金の一手詰である。眠らされていた馬がこんなに気持ちの良い手で活用できては勝負ありで、最後は手が震えながらも相手の王手ラッシュを凌ぎ切り、投了図までの快勝となった。



手は震えていたのだが、ガキさんと美貴様の見事な指し回しでわかりやすい展開にしてもらえたし、「(4将の)安倍さんにギリギリまわせるかなあ、どうかなあ」なんてことまで考えていたくらいなので、意外と平常心だったのかもしれない(90手で交代だったのだが、87手で相手が投了)。



1回戦完敗、2回戦逆転勝ちと、チームとしても亀個人としてもなかなか納得のいく将棋が指せなかったのだが、3回戦でようやく快勝と言えるような将棋が指せた。結果的には、対局前の亀の「予感」は的中したことになる(ちょっと自慢げ)。

個人的なことを言えば、「1勝できれば満足、予選通過できたら最高」という気持ちだったので、予選通過という結果に亀は大喜びしている。それはきっと他の3人も同じだと思う。
決勝トーナメントは一回戦で負けてしまうのか、それとも優勝してしまうのか全く分からないけれど、勝敗よりも何よりもまず「楽しんで」指したい。それが「リレー将棋」というものなのだから。


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